SNSでの「ツイッター訪問」が就活の秘訣

今年の就活で大きなポイントとなるのは、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを利用した就活、いわゆる「ソーシャル就活」です。

12月6日、ニフティ株式会社により、就活トーク&交流会「就活力アップの秘訣は、ソーシャルメディア活用にあり」というイベントが開催されました。同イベントでは、就活の専門家や内定済みの大学4年生が「ソーシャル就活」の実態や秘訣を存分に語りました。

実際にツイッターやフェイスブックを駆使して内定を獲得した大学4年生3人に、利用実態や秘訣について聞いた内容をお伝えします。

ツイッターを使って社会人に出会うのがポイント

ソーシャル就活で成功した学生の話を聞くと、活用の秘訣は期せずして共通していました。それは、OB訪問の代わりにツイッターを使うことです。

就職サイトの運営会社に就職する佐野創太さんは、最初に、志望会社に勤める社会人ユーザーをツイッター検索で探し出してフォロー。次にリプライ機能を使って、「○○大学の佐野です。いま就活をしているので、もしよろしければ会っていただけませんか」というメッセージを送り、社会人訪問につなげていったそうです。「ツイッターを使うことで10人以上の社会人と会えて、会社説明会では聞けないような詳しい話もじっくりと聞けた」(佐野さん)。

ネット大手に就職する吉田将人さんは、別の意味で徹底していました。吉田さんは就活とは別に、ツイッター上で興味深いユーザーを見つけると会いに行ったり、ユーザーの集いを開いていたそうです。「僕自身が『世間知らず』だったので、ツイッターを使って人に会うことで、世間を学ぶことにした」(吉田さん)。ツイッターを介して、学生と社会人合わせて300~400人に出会ったということです。

こうした行動が結果的に、その人が働いている会社や業界のことを知る「業界分析」につながって就活にも役立ったと、吉田さんは振り返ります。

学生でも「中途採用」で入社できることに

ツイッターを介して社会人に会うことは、本当に役に立つのでしょうか。

吉田さんは「『自分がどこの業界に行きたいのか』という考えを決めきれないまま就活を行う学生は多い。だが、実際に働く社会人の生の声や働き方を見聞きすることで、その業界や会社が自分に向いているのかがわかる」と、社会人と会うことの有益性を語ります。

佐野さんも「人に会うことは面接の練習にもなる。自分より年上の社会人と話しておくと、面接の時にも『この学生は、学生だが大人慣れしている』という印象を面接官に持ってもらえる」と語りました。

もちろん社会人への訪問は、ツイッターを使わずに実行することもできます。でも、ツイッターによって、日ごろ接点のない社会人ユーザーとも会える可能性が高まっていることは事実です。これを使わない手はないでしょう。

「ツイッター訪問」によって、思わぬところから就職が決まった事例もあります。

ソーシャルメディアのコンサルティングを手がける会社に就職する植原正太郎さんは、就活前に著名なブロガーにツイッター上で「会いたい」と申し込んだのがきっかけで、そのブロガーが開催する勉強会やセミナーに参加するようになったといいます。

植原さんはそのブロガーが働いている会社にも興味を持ったのですが、その会社は新卒採用をしておらず、経験者の中途採用しか取っていませんでした。

そこで植原さんがブロガーに相談したところ、なんと中途採用に応募でき、採用試験にも受かってしまったというのです。

ツイッターをきっかけにして志望会社の働いている人とつながりを持ってしまえば、普通の学生とは別のルートから就職することも可能になるのです。

植原さんは「説明会やセミナーに行くより、社会人の人と会う機会を作るべきだ。そうすると『自分だけの就活』が作れる」と、後輩の学生にアドバイスします。

プライベートな話題を振るのが訪問のコツ

実際、ツイッター訪問の成功率はどれぐらいなのでしょうか。佐野さんは「体感値では、依頼した人のうち、6割ぐらいのユーザーが会ってくれた」と語ります。会ってくれる可能性はかなり高いですね。

ただしツイッター訪問を社会人に依頼するには、学生の側もそれなりの準備が必要です。

例えばツイッターでは短文しか送れないため、「ツイッターでメールアドレスなどをやりとりしつつ、メールできちんと自己紹介や来訪の目的を送った」(佐野さん)。ツイッターだけに頼らず、メールを使った長文での依頼が重要です。

植原さんは「ツイッター上で自分の身元をさらすことが重要」と語ります。

ツイッターのアイコンが絵柄だけで、プロフィール欄もあまり書かれていないユーザーからの依頼は、相手から無視されることが少なくありません。アイコンに自身の顔写真を載せて、プロフィールにも自分が関心を持っている業界やサービスなどを明記すれば、依頼相手からも関心を持ってもらいやすくなります。

吉田さんも、ツイッターで自分の名前や顔、出身高校などを掲載しました。フェイスブックでは電話番号まで明かすなど、自分の情報や身元はソーシャルメディア上ですべて公開しているということです。こうした身元公開により、社会人に会いやすくなっているといいます。

学生にとっては、ソーシャルメディア上でどんな人に会いにいけばいいのかも、迷いどころですね。

そんなときは「社長や著者などの有名人がツイッターでフォローしている人には、情報の拡散元となるユーザーがいる。その人を調べると、業界のキーマンや会いたくなる人が見つかる」(佐野さん)。

社会人と会う前にもコツがあります。例えば、会う当人のツイートを読んでいると、その人のプライベートなことがわかるもの。そこで「最初に『昨日はラーメンを食べていましたね』『お子さんが生まれたんですね』などのプライベートな話題を振るとと、そこから話が弾むようになる」(吉田さん)

ツイッターで見つけた人をフェイスブックで検索し直すと、フェイスブックの投稿でプライベートなことがわかることもあります。こうしたことから、話が弾むようになることもあるのです。

社長のタイムラインを「自分のもの」とする

ツイッター訪問の他にも、ソーシャルメディアが就活に貢献する面は多々あります。

例えば情報収集。「有名な社長がフォローしている人をすべてフォローしていき、自分のタイムラインを社長のタイムラインと同じようにした」(佐野さん)。学生でも、企業人と同じ情報を閲覧することで、自分の情報力を高めていったのです。

同じ情報を配信する新聞や就職情報サイトからとは違い、ツイッターやフェイスブックを活用して情報を得れば「人とは違う、自分だけの情報源を作れる」(植原さん)。こうした情報を仕入れることが、面接などの時に役立つのです。

また、ツイッターやブログで学生のときの経験を細かく記しておくと、「面接の際、面接官に『君のアカウントをフォローしているよ』と言われて話が盛り上がり、その面接も突破できた」(佐野さん)。

今の時代、企業の側も学生のソーシャルメディアの投稿をチェックしています。そこで自分の体験や考えをエントリーシートに加えて、ソーシャルメディア上で事細かに記しておくと、面接官の目に留まり新たなアピールができることもあるのです。

そこまでやらなくとも「フェイスブックのプロフィール欄を埋めていくだけでも、他人から見られていることを意識する自己分析の一つとなる。そこから始めてもいい」と佐野さんはアドバイスします。

とはいえツイッターやフェイスブックの使い方に、決まった方法はまだありません。また、就活のためにソーシャルメディアに投稿していると、相手からも下心が見えてしまう懸念もあります。

逆に、これをきっかけにして、就活という枠に収まらない深い人間関係を作ることもできるかもしれません。「ツイッターやフェイスブックで就活の反省を書いたところ、選考で落ちた企業の人事担当者から電話が来て、『お前、いい就活したな!』と言ってもらった。その人とは今でも、プライベートで食事をするほどの付き合いになっている」(佐野さん)。

「ソーシャル就活だ」と気負ったり特別視するのではなく、就活のなかで人間関係を作るためのツールとして利用しながら「自分に合ったソーシャルメディアの使い方を見つけて、フロンティアを切り開いていくべき」(植原さん)なのでしょう。

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